ひらめきの十二星座シリーズ~⑩乙女座~
ひらめきの十二星座シリーズ・其の⑩『乙女座』
この十二星座シリーズは、プロローグで作ったカニとサソリを含めれば、事実上はこの乙女座がラストになる。
何故この乙女座が最後になったのかは自分でもよく分からない。
ほとんどの星座はそれぞれに特徴的なモチーフがあり、そこを表現の軸にすることが出来るが、そこの閃きが自分なりに最も見つけにくかったのがこの乙女座なのかもしれない。
ギリシャ神話における乙女座のモデルは、豊穣の神デメテル・その娘ペルセポネ・正義の女神アストライア(天秤座)の3人の女性の誰かだと言われている…
そんなことを思い描きながら、乙女座のフォルムをイメージした。
ポイントは三か所で、なびく髪、天使のような羽、揺れるドレス。
使うレザーは、この柔らかい黄色が乙女座の雰囲気とあったのでこれを表革にし、裏はブラウンにした。
先ずはボディーラインから貼り合わせ、適度にシワを作りながら整えていく。
次に羽の部分も少し反らせながら固めていく。
そして今回一番の課題は、なびく髪をどう表現するかということ。
二枚の革を張り合わせた後にその形を変えるのには限界がある。
細長い髪が揺れる状態を創り出すのに、いろいろと試してみた。
フォークや綿棒で編み、硬化剤で固めてみる。
その後互いを編み合わせ、また硬化剤で揺れをキープさせる。
緻密に計算して積み上げる、完璧主義な乙女座。
可憐で儚いながらも、どこか揺るぎない絶対性を表現できただろうか…
そんなことを感じた、第十弾は「乙女座」でした。
黄色い天使…
イエローエンジェル…
これは僕が書いた小説のタイトルにもなっている。それに今これを書いていて気が付いた。
黄色を意識したわけではないが、無意識にそれを自分の中で繋げていたのかもしれない…
次回は「蟹座」になります。